2026/09/16
熊本県阿蘇郡高森町の上色見(かみしきみ)に鎮座する上色見熊野座神社は、「かみしきみくまのいますじんじゃ」と読む。阿蘇カルデラ外輪山の南東部、国道265号から南へ続く山道の途中にあり、主祭神は伊邪那岐命・伊邪那美命・石君大将軍。創建は鎌倉時代末期から室町時代ごろとされ、古代からの磐座信仰と、修験者たちがもたらした熊野信仰が結びついて生まれた。かつては「穿戸権現」「熊野宮」などと呼ばれていた。磐座とは神の宿る巨岩のことで、穿戸岩を中心とする古代からの信仰がこの神社の原点である。苔むした石灯籠が並ぶ急な石段を登ると、奥に「穿戸岩」と呼ばれる巨大な貫通岩が現れる。阿蘇大明神の従者・鬼八法師が蹴破って穴を開けたという伝説を持ち、岩を抜ける風や光が幻想的な雰囲気を醸す。近年はパワースポットとして知られ、異世界へ迷い込んだかのような光景を求めて多くの参拝者が訪れる。高森町は田園と草原が広がる阿蘇の玄関口で、神社の境内は深い緑に包まれ、四季それぞれに異なる表情を見せる。例祭は7月中旬。御朱印は南阿蘇鉄道の終着駅・高森駅近くの観光案内所で授与されている。神々が宿る山あいの聖地として、今も多くの人を魅了してやまない。